スポーツの試合中に観客がレーザーポインターを使用する行為が問題視されています。
特にMLB(メジャーリーグベースボール)では、過去にも試合の妨害を目的としたレーザーポインターの使用事例が報告されており、選手に与える影響が懸念されています。
2025年3月18日に東京ドームで行われたドジャース対カブスの開幕戦でも、レーザーポインターによる妨害が発生し、試合が一時中断しました。
これまでにMLBで発生した同様の事件にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、野球よりもサッカーの方がレーザーポインターの被害が多いと言われるのはなぜでしょうか?
スタジアムの構造や観客の応援スタイルなど、スポーツごとの環境の違いが影響している可能性があります。
本記事では、MLBでのレーザーポインター事件の過去事例を振り返るとともに、なぜサッカーの方が被害が多いのか、その理由を3つ紹介します。

MLBで発生したレーザーポインター事件の過去事例

MLBではこれまでに複数回、観客によるレーザーポインターの照射が問題となってきました。
特に、投手や野手の視界を妨害し、試合の流れを変えてしまう可能性があるため、リーグ側も厳しい対応を求めています。
最近では2025年の東京ドームでの開幕戦で発生した事件が話題になりましたが、それ以前にもいくつかの重要な事例があります。
ここでは、代表的な過去事例を振り返ります。
2025年 東京ドームでのドジャース対カブス開幕戦
2025年3月18日に東京ドームで行われたロサンゼルス・ドジャース対シカゴ・カブスの開幕戦では、レフト席からレーザーポインターが照射されるという事件が発生しました。
この行為によって試合が一時中断し、球場全体が騒然となりました。
試合は8回表、ドジャースの攻撃中に発生。1死無走者の場面で、球審が試合を止め、両軍ベンチに状況を説明。
スタジアムのアナウンスで「レフトスタンドからレーザーポインターの照射が確認された」と発表されました。

選手たちに大きな影響はなかったものの、東京ドーム内では大きなブーイングが巻き起こりました。
MLB側はこの行為を厳しく非難し、関係者を特定するための調査を進めています。
試合に影響がなかったとはいえ、選手の集中力を奪い、視覚的な影響を与える可能性があるため、リーグは今後の対策強化を求められています。
2021年 メッツ対ドジャース戦でのマンシー選手妨害
2021年に行われたメッツ対ドジャースの試合では、ドジャースのマックス・マンシー選手がレーザーポインターの照射を受け、スイング時に視界を妨害される事件が発生しました。
この試合はレギュラーシーズン中の重要な一戦であり、マンシーはチャンスの場面で打席に立っていました。
しかし、スイング直前にグリーンのレーザー光が目に入ったことで、集中を乱し、空振り三振に終わりました。
マンシーはすぐに審判へ異議を申し立て、試合は一時中断。球場のセキュリティスタッフがレーザーを照射した観客を捜索し、最終的に関与した人物がスタジアムから退場処分を受けました。
この事件は、レーザーポインターの使用が試合結果に直接影響を与えた例として注目されました。
MLBはこの試合後、レーザーポインターの持ち込みをさらに厳しく取り締まる方針を打ち出し、球場内での取り締まりを強化しました。
その他のMLBでのレーザーポインター事件一覧
MLBでは、過去にも複数のレーザーポインター事件が発生しており、その影響は選手や試合の流れに大きな影響を与えました。
代表的な事例を紹介します。
- 2001年 マリナーズ対レッドソックス戦
- シアトル・マリナーズの佐々木主浩投手が、9回裏の登板時に観客からレーザーポインターを照射された事件。佐々木は冷静に対処し、試合を無失点で締めくくった。
- 1998年 レッドソックス対メッツ戦
- メッツの野手がレーザーポインターの照射を受け、試合が一時中断。審判が注意を促し、関与者は即座に排除された。
- 1997年 巨人対ヤクルト戦(日本)
- 大阪ドームでの試合中、ヤクルトの吉井理人投手がレーザー光を目に受け、サインが見えにくくなり途中降板。日本球界でも初めて問題視されたケース。
MLBでは、このような行為が選手のパフォーマンスに影響を与えることから、観客のルール違反には厳格な対応を取るようになっています。
なぜ野球(MLB)よりもサッカーの方がレーザーポインター被害が多いのか?

レーザーポインターの被害は野球よりもサッカーの方が多く報告されています。
その理由として、スタジアムの構造や応援スタイルの違いが挙げられます。
ここでは、特に影響を与えている3つの要因について詳しく解説します。
理由① スタジアムの構造と観客席の距離
サッカーのスタジアムは、観客席とフィールドの距離が比較的近いため、レーザーポインターを使用した際に直接選手の顔や目に当たりやすくなります。
特にヨーロッパや南米のスタジアムでは、ピッチに迫るような設計になっており、観客が選手へ妨害を加えやすい環境になっています。
一方、MLBの球場では、マウンドや打席と観客席の距離が離れているため、レーザーポインターが届きにくいという違いがあります。
そのため、野球よりもサッカーの方が被害が目立つのです。
理由② サッカーの文化と応援スタイルの違い
サッカーの試合では、応援が非常に熱狂的であり、特にライバルチーム同士の試合では観客があらゆる手段で相手チームを妨害しようとすることがあります。
レーザーポインターはその一環として使用されることがあり、特に重要な場面で狙われるケースが多くなっています。
野球では、応援のスタイルが比較的落ち着いており、レーザーポインターの使用が試合を決定的に左右する場面は少ない傾向にあります。
この文化の違いも、レーザーポインターの被害がサッカーに多い理由の一つです。
理由③ ゴールキーパーを狙いやすい状況が多い
サッカーでは、PK(ペナルティキック)やフリーキックの際に、ゴールキーパーの目を狙ってレーザーポインターを照射する行為が多く見られます。
特に国際試合や大一番の試合では、このような妨害行為が増える傾向にあります。
一方で、野球では投手や打者が狙われることはあるものの、サッカーのPKほど試合を決定づける場面は多くないため、影響力が相対的に小さくなります。