日産が発表した工場閉鎖のニュースは、各地に衝撃を与えています。
なかでも、神奈川県平塚市にある「湘南工場(日産車体)」が閉鎖対象として注目されており、地元でも不安の声が広がっています。
この記事では、湘南工場が閉鎖候補として挙がっている背景や、商用車ラインの現状、地域経済への影響、そして今後の見通しについて詳しく解説していきます。
※この記事は湘南工場に特化していますが、日産が発表した全体の工場閉鎖計画については以下でまとめています。
▶ 日産が7工場閉鎖へ!国内5拠点のうち閉鎖候補はどこ?内部情報と報道を総まとめ
また、もう一つの注目拠点である「栃木工場」に関する詳しい影響はこちらで解説しています。
▶ 栃木工場が閉鎖されたら何が起こる?地元経済・雇用・再就職の現実をまとめた!
湘南工場(日産車体)が閉鎖候補として挙がる背景を解説
湘南工場は、日産の子会社である「日産車体」が運営する生産拠点で、神奈川県平塚市に位置しています。
ここでは主に商用車の「NV350キャラバン」や特装車(福祉車両、救急車など)が生産されていますが、こうしたモデルの販売が伸び悩んでいることが懸念材料とされています。
商用車ラインの不振と生産モデルの変化
国内市場では、商用バンの需要が減少傾向にあり、NVシリーズもかつての勢いを失っています。
車種名 | 車両タイプ | 主な用途 | 備考 |
---|---|---|---|
AD | 小型商用車(LCV) | 配送、営業用 | 旧称:ADバン |
NV200バネット | 小型商用車(LCV) | 配送、タクシー | タクシー仕様や福祉車両もあり |
加えて、他社の競合モデルとの競争激化や法人需要のEVシフトも影響しており、湘南工場で生産されるモデルの先行きが不透明になっています。
老朽化した設備と他工場との役割被りが閉鎖リスクに?
湘南工場は1950年代から稼働している歴史ある工場ですが、その分、老朽化が進んでおり、今後の大規模な再投資が必要とされています。
また、日産車体九州工場でも商用車の生産が可能なため、役割が重複している点も「統廃合候補」と見なされる理由の一つです。
もし湘南工場が閉鎖されたら…平塚の地域経済に与える影響とは?
湘南工場は、平塚市における大手雇用主の一つです。直接雇用だけでなく、地元の部品メーカー、物流業者、飲食・小売業まで幅広く波及効果を持っています。
閉鎖されれば、それらの経済活動が大きく揺らぐことになります。
関連企業や従業員の生活はどうなる?
湘南工場には正社員・派遣社員あわせて数千人規模が勤務しているとされ、もし閉鎖されれば配置転換や雇用の調整が不可避となります。
家族で地域に根ざして生活している方も多く、転勤や異動が現実的でないケースも多く見られるでしょう。
市内の雇用と商業インフラへの波及シナリオ
湘南工場に依存していた飲食店やサービス業、小売店なども打撃を受ける可能性が高く、平塚市の地域経済にとって非常に大きな影響を与えることが予想されます。
産業分類 | 事業所数 | 主な内容 |
---|---|---|
製造業 | 425事業所 | 生産用機械器具製造業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業など |
卸売業・小売業 | 2,315事業所 | 食品、日用品、衣料品などの販売 |
農業 | 1,321戸 | 野菜、果実、花きの栽培 |
水産業 | 12経営体 | 沿岸漁業、養殖業 |
サービス業 | 多数 | 飲食店、宿泊業、教育、医療など |
また、空いた土地の再開発や、自治体による雇用支援策が焦点になることも考えられます。
商用車の今後と日産の生産再編方針から読み解く未来予測
今後、商用車市場がどのように動くかは、湘南工場の存続が重要なポイントです。
日産は電動化戦略を加速させており、その流れの中で旧来のラインの扱いがどうなるか注目されています。
キャラバン・NVシリーズの需要は回復するのか?
法人用途での需要が一定数あるものの、EV化の遅れや海外製品との価格競争など、NVシリーズの先行きには課題が残ります。
これらのモデルが再設計・刷新されない限り、工場ごと役割を終える可能性も否定できません。
他工場への移管・電動化対応による再編計画の可能性
九州工場は比較的新しい設備を持ち、生産効率も高いことから、商用車ラインを統合する可能性があります。
また、EV対応ラインへの再編という名目で、湘南工場が「段階的縮小→閉鎖」というシナリオも現実的になりつつあります。