日産が発表した7工場の閉鎖方針が波紋を広げる中、「栃木工場」の行方が注目を集めています。
国内5工場の中でも閉鎖候補として名前が挙がるこの工場が、もし本当に閉鎖された場合、地元の経済や雇用はどうなってしまうのでしょうか?
今回は、栃木工場の現状と、仮に閉鎖された場合に考えられる影響、過去の工場閉鎖との比較などをわかりやすくまとめました。
※まず「日産が発表した7工場閉鎖の概要」や、その他の国内工場について知りたい方はこちらもどうぞ。
▶ 日産が7工場閉鎖へ!国内5拠点のうち閉鎖候補はどこ?内部情報と報道を総まとめ
また、栃木工場と同様に閉鎖が懸念されている湘南工場については以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 湘南工場(日産車体)は閉鎖対象?商用車ラインの苦境と地域経済の今後を探る!
日産の栃木工場が閉鎖される可能性はどれくらいあるのか?
日産は現在、日本国内に5つの完成車工場を保有していますが、そのうち栃木工場は「閉鎖候補」として多くのメディアで言及されています。
最大の理由は、製造しているモデル(スカイライン、フェアレディZなど)の販売台数が限られており、稼働率が低いこと。
また、設備の老朽化も進んでおり、今後の投資対効果が疑問視されている点も挙げられます。
候補として名前が挙がる理由とは?稼働率・設備・車種の視点から解説
栃木工場では主に高級セダンやスポーツカーなどを生産していますが、国内市場ではこうした車種の需要は年々減少傾向にあります。
そのため、稼働率は他の工場と比べて低く、老朽化したラインを維持するコストも重荷に。
投資効率の面で“切られやすい”立場にあるといえます。
他の工場と比較して“危険度”は高い?九州・追浜との違いは?
追浜工場は電気自動車「リーフ」、九州工場はセレナやエクストレイルといった主力車種を生産しており、いずれも稼働率が高い工場です。
一方、栃木工場は生産車種が限定的で汎用性に欠けるため、比較対象として“危険度が高い”という評価をされやすいのが現状です。
工場が閉鎖された場合、栃木の地域経済はどうなる?
もし栃木工場が閉鎖された場合、影響は工場内だけにとどまりません。
取引先や関連企業、さらには地元商店街にも波及することが予想されます。
特に、上三川町は日産工場を中心に経済がまわっている地域でもあり、住民の多くが間接的に工場と関係しています。
関連企業・取引先・地元商店街に与えるインパクト
工場が稼働しなくなれば、物流業者や部品サプライヤー、さらには工場関係者向けの飲食店や小売店にも大きな打撃となります。
日産栃木工場の雇用は2,000人以上とも言われており、そこに連なる産業を含めると、影響を受ける人数は1万人規模になる可能性もあります。
上三川町 産業分野 | 内容 |
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農業 | 米、いちご(とちあいか)、トマト、ニラ、アスパラガスなど多様な農産物の生産が盛んです。 |
製造業 | 日産自動車栃木工場を中心に、自動車関連産業が町の経済を支えています。 |
商業 | 農産物直売所や地元の商店が地域の生活を支えています。 |
観光・サービス業 | 地元の特産品や自然を活かした観光資源があります。(株式会社ネクストレベル – Webメディア事業・婚活事業) |
栃木県全域 産業分野 | 内容 |
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農業 | 米、いちご、トマト、ニラ、アスパラガスなどの生産が盛んで、全国有数の農業県です。 |
製造業 | 自動車、航空機、電子機器などの製造業が発展しています。 |
観光業 | 日光や那須などの観光地があり、観光業も重要な産業です。 |
サービス業 | 商業施設や飲食店など、サービス業も県内各地で展開されています。(栃木移住ガイド) |
自治体や地元の反応は?過去の村山工場閉鎖との比較も
1995年に閉鎖された村山工場(東京都)では、閉鎖後に地域の商店街が一気にシャッター街化しました。
今回も同様の事態を懸念する声が地元から上がっており、上三川町や栃木県も今後、雇用対策や再開発についての準備が求められるでしょう。
日産栃木工場の従業員はどうなる?雇用と再就職の行方
最も気になるのが、現在働いている従業員たちの今後です。
日産側は過去の事例から見ても、配置転換やグループ企業への異動などの措置をとる可能性がありますが、全員の雇用を確保できるかは不透明です。
従業員数と配置転換の可能性…他工場への異動は?
栃木工場には正社員・契約社員を含めて2,000人以上が在籍しているとされます。
九州や追浜工場への配置転換も想定されますが、転居を伴う異動は簡単ではありません。
家庭や地域に根ざした生活を送っている人も多く、実質的には“退職”を選ぶケースも出るでしょう。
再就職支援や地元での雇用吸収策はあるのか?
行政やハローワークによる再就職支援プログラムが動き出す可能性もありますが、同規模で雇用を吸収できる産業はすぐには見つからないのが実情です。
地元の建設業や農業など一部産業が受け皿になるかもしれませんが、業種転換にハードルがあるのも事実です。