最近、ニュースやSNSでも見かけるようになった「アメリカの相互関税」という言葉。
なんとなく難しそうに聞こえますが、ざっくり言うと“お互いに関税をかけ合う”という仕組みのことです。
とはいえ、「なぜそんなことをするの?」「アメリカにとってどんなメリットがあるの?」と疑問に思っている人も多いはず。
この記事では、相互関税の基本的な意味から、アメリカがこの仕組みを使って得られるメリットまで、できるだけカンタンに・やさしく解説します!
アメリカの相互関税とは?基本の仕組みをわかりやすく解説
アメリカの「相互関税」とは、貿易相手国がアメリカに関税を課す場合、アメリカも同じように関税をかけ返すという“対等の関税ルール”です。
これはアメリカが貿易交渉で主導権を握るための“戦略的なツール”として使われています。
相互関税の意味と他の関税制度との違い
通常の関税は、自国の産業を守るために一方的にかけることが多いですが、相互関税は「相手が関税をかけるなら、こちらも同じだけかけるぞ」という対抗的な仕組みです。
項目 | 通常の関税 | 相互関税 |
---|---|---|
目的 | 自国の産業保護 | 対抗措置・交渉材料 |
発動の仕方 | 一方的に関税をかける | 相手が関税をかけた場合に対抗してかける |
特徴 | 主に防衛的 | 交渉力を高める手段 |
例 | 国内農産品保護のための輸入税 | 米中貿易戦争での関税応酬 |
実際は交渉力を高める“圧力カード”として使われることが少なくありません。
実際にどの国とどう取引しているのか?
アメリカは主に中国、EU諸国、カナダなどと相互関税に関連する動きを見せています。
特に米中貿易戦争では関税の応酬が何度も起こり、世界経済に影響を与えました。
最近では、関税を“外交手段”として使う場面が増えており、国際戦略の一環とも言えるでしょう。
年・期間 | アメリカの関税率 | 中国の報復関税率 | 主な対象 |
---|---|---|---|
2018年7月 | 25%(約340億ドル分) | 25%(340億ドル相当) | 工業製品・自動車部品など |
2018年8月 | 25%(160億ドル分) | 25%(160億ドル相当) | 半導体・化学品など |
2018年9月 | 10〜25%(2000億ドル分) | 5〜10%(600億ドル分) | 家電・家具・食品など |
2019年6月 | 最大25%(約2500億ドル分) | 5〜25%(600億ドル分) | 幅広い消費財 |
2024年(直近) | 最大145% | 最大125% | 電気自動車・バッテリー等 |
アメリカが相互関税で得られるメリットとは?
一見すると対立を生むような相互関税ですが、アメリカにとっては経済・政治の両面で大きなメリットがあります。
ここではその主な利点を紹介します。
交渉カードとして有利になる
「関税をかけ返すぞ」と構えることで、相手国に対して強い交渉力を持つことができます。
アメリカにとって不利な貿易条件を見直したり、新たな協定を結び直す“取引材料”にすることが可能です。
国内産業の保護や雇用の維持につながる
安価な輸入品に対して関税をかけることで、国内の製造業や農業を守ることができます。
海外製品との価格競争を避けられるため、雇用を維持する効果も期待されています。